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杉本博司 「 時間の終わり 」展


杉本博司 「時間の終わり」展 @森美術館

10月3日に行ってきました。写真作品総数約100点。
全作品が凄まじい存在感を放っていて、思わず後ずさりしてしまうようでした。
もちろん、良い意味で、です。

写真は瞬間を切り取るツールというのが一般的な認識だと思うのですが、
杉本博司さんは「 時間 」の概念を加えることによって様々な表現形態を生み、
僕たちにビジュアルにとどまらない異質な感情を送り込んでくる。
そのような印象を持ちました。
でも不思議に感じたのは、「 時間 」というツールを加えているにも関わらず、
作品には時間の流れが欠けているような気がしました。
「 写真だから動かないのは当然 」というレベルの話ではなく、
被写体の時間そのものが「 凍結 」してしまっているようなイメージです。
この風景は未来永劫動かないような、私的にはそんな感じでした。

なるほど、それが「 時間の終わり 」なんだな、と、理解します。
印象に残ったものに感想を。感動したので長くなりそう。



1.観念の形
数学的原則に基づいた立体造形の写真を展示。
例えば 「 オンデュロイド ~平面曲率が0でない定数となる回転面~ 」 など、
正直、定義を理解はできなかったが、被写体となった造形物も展示してありました。
人間が考えうる最も美しい、最も作為のないカタチ・・・?
真っ白な可動壁が規則的にドンドンドンと屹立していて、天井が高いこともあり、神聖な空気。
もちろん、その隙間から漏れる照明光も計算済みなんだろう。
それらの存在感に思わず後退、壁に背中をつく。

2・ジオラマ
剥製は両の目で見れば剥製であるとわかるが、片目を瞑るとまるで生きているかのように揺らぐ。
モノを2次元に変換する「 片目を瞑る 」という動作を、「 写真 」というツールで代用したもの。
生物にも見えるし、剥製にも見える。どっちにでも見えてしまう。
それが不思議な空気を生み出していました。

3.海景
漆黒の壁と無いに等しい照明。海の風景の写真のみがボンヤリと浮かび上がる。
焦点を少しだけ外して作品背後の黒壁のテクスチャーを消すと、
この空間には「 自分 」と「 窓 」と灰色の「 海 」しかなくなったような錯覚に襲われました。
何も無い空間に窓枠がポッカリと浮かんでいて、その向こうにモノクロの海が見えるような。
一部、照明が暗すぎて作品が死んでしまっているような場所もあったのですが、
あれも狙いなのでしょうか・・・?

4.仏の海
高さ50cm程度、長さ(幅)50m程度に1000体の仏像写真。全て少しずつ表情が違う。
これは映像作品へと拡張されていました。
前出の長尺写真を、構図が似たものとなるように切り出し、それらをスライドで流す。
もちろん各パーツは写真だから、ムービーのように仏像が動くはずはない。
しかしスライドが高速になるにつれて、まるで仏像が大挙して迫ってくるように感じられる。
絶対数は1000体であるはずなのに、感覚的にはそんなものではない。
∞の仏像。狂っている。

5.劇場
映画一本分の露光による撮影。観客も映像も何も写らない。
スクリーンに映るのは光のみ。空白のみ。
普遍で荘厳な劇場空間を映し出しているようにも感じましたが、
一方で、一時の娯楽というものの無常さも感じてしまうのでした。

6.肖像写真
20分の露光により蝋人形を撮影したもの。まるで人間のように見えるのは何故・・・?
多分普通に撮ったらこうは写らないだろう。
20分の微妙な環境の変化が写りこんで影響しているのかな・・・?
ここまで生物学的ヒト的だと、自分の存在すら疑うしかないじゃないか。

7.松林図

8.護王神社 ~ アプロプリエイト・プロポーション ~

9.影の色

10.建築
20世紀の代表的な建築を無限大の倍(?)の焦点で撮影したもの。
マテリアとしてのフォルムを消してイデアとしての建築家のイメージを撮影する。
いわば「 建築家が建設前に頭の中に持っているイメージ 」です。
杉本氏曰く、「建築耐久テストの旅」らしいです。
極度まで焦点が外された写真は、よほど強いエネルギー・造形を持っていないと、
全てが溶けていってしまうのだろう。
なるほど、展示してあった写真はコルのサヴォア邸やノートルダム寺院、
ライトのグッゲンハイムやF.O.ゲーリーのそれなど、巨匠揃い踏み。
極度にボヤケているにもかかわらず一目でそれとわかる。溶けていない。

2本のタワーを撮った写真がありました。
これもまた一目でわかる、ミノル・ヤマサキのWTCです。
杉本氏の狙いとは違うとは思うのですが、
確かに存在感のある2本の塔は、その幻のような撮影方法の為、
まるでテロによって破壊されることを予期していたようで、皮肉を感じました。

**********

最後に、会場の超音波が耳障りでした・・・。
さすがにあれは演出ではないだろうし、何の音??

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コメント

サウンドインスタレーション

突然お邪魔します。杉本さんの名前を検索した結果リンクをたどってやってまいりました。森美の展示会、すごかったですね・・・私は劇場シリーズが一番心に残りました。ところであの超音波のことですが、サウンドアーティストの池田亮司さんによるサウンド・インスタレーションだそうです。最初は耳障りでしたが私は途中からもう気にならないほど写真に熱中していましたが、森美で監視のバイトをしている友達によると、かなりの割合でお客様に「何の音ですか?」と聞かれるそうです・・・笑

  • 2005/10/14(金) 16:54:09 |
  • URL |
  • えり #aodhqdL2
  • [ 編集]

サウンドインスタレーション!


コメントありがとうございます。あれは演出の1つだったのですか・・・。
能舞台の映像が流れている部屋で特に大きな音として聞こえたのですが、
確かに、能のゆったりとした演舞が音によって刻み込まれる気はしました。
これから超音波を聞いたらアレを思い出してしまうような感じ?でしょうか。

>森美で監視のバイトをしている友達によると、かなりの割合でお客様に「何の音ですか?」と聞かれるそうです・・・笑

それはそうでしょうね・・・笑
美術館は静かな空間であってほしいという大多数の中の一人である僕にとっては、
やっぱり耳に響きすぎる音ではあったかも・・・失礼?

しかしやはり、あそこまで圧倒的な写真と空間の存在感をもった写真展に行くのは初めてでしたので、
それはもう、心を持っていかれてしまいました。

  • 2005/10/14(金) 23:53:15 |
  • URL |
  • suzuki hiroshi #-
  • [ 編集]

また行ってきました

昨日また行ってきましたが、新しい発見がありました。気づかれたかとは思いますが、護王神社の模型の地下の通路、覗き込むと外が見えるんですよ・・・本当の護王神社の地下通路からは瀬戸内海が見えるそうですが、今回の模型では東京湾が見えるように設置したそうでうす。美術館の中って現実の世界から隔離されているような気持ちになるものだけれど、あの模型の中を覗き込んで雨に滲んだ東京の夜景が見えた瞬間、自分が物理的にどこにいるのかを急に思い起こさせられ、くらっとしました・・・直島に行ってみたいです。

あと、フェルメールの「音楽のレッスン」。鏡の中にカメラの三脚の足が写っているのに気づかれたでしょうか。

杉本先生のアートに対する真剣な態度と追求しつづける精神に、改めて感激しました。東京で行われた展覧会でここまで心を動かされたのは初めてでした。

11月4日と6日のスペシャル対談イベントに参加させていただく予定なので、後日レポいたしますね。私もこの春に美大を卒業した者なのですが、卒業制作の時期って大変ですよね。お体にお気をつけて。

  • 2005/10/16(日) 11:44:38 |
  • URL |
  • えり #aodhqdL2
  • [ 編集]

情報ありがとうございます!

護王神社の模型の地下の通路については、気づきました!
遠景すら展示物として取り込んでしまっている感覚は、「おぉ、ランドアートしちゃった!」と、一人で感動でした。

少し話はズレますが、「物理的にどこにいるのか」ということについて。
僕が地方者だからかもしれませんが、東京って、駅と駅の間の空間が無い気がします。
いつも電車にのって移動するから、例えば六本木と上野(別にどこでもよいのですが・・・。)が、実際はどのような位置関係にあるのかがわからない。
路線図の位置関係が本当に正しいのか、疑問に思います。
別に生活するうえで何も支障はないのですが、何か、気持ち悪い・・・。
まるで輸送されているような、僕が住んでいる場所では感じられない違和感があります。

・・・関係ない話でした。

様々な裏(?)情報、大変参考になります。また観に行きたくなるような文章をお書きになりますね・・・笑
対談イベントのレポ、是非とも宜しくお願いします!東京に行く予定が合えば、見に行きたいな。
卒業制作、頑張ります・・・。

  • 2005/10/17(月) 20:33:02 |
  • URL |
  • suzuki hiroshi #-
  • [ 編集]

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